Photographed by Yoshihiro Hirai(ヒライ ヨシヒロ)

ヒライ ヨシヒロが日々写真を中心に思ったことをつづるブログです。

【イベントレポート】写真家・青山裕企が語る「魅力的な写真の撮り方」と「写真家として生きるということ」

【イベントレポート】写真家・青山裕企が語る「魅力的な写真の撮り方」と「写真家として生きるということ」

友人から青山裕企さんのトークショーがあるよ!とイベント前日に教えていただき行ってきました。

どういった内容かわからないまま参加しましたが、結論としては写真家の青山裕企さんが「今日から使える撮影テクニック」から、普段なかなか聞けない「写真のビジネスやお金のリアルな話」、そして「人、表現と向き合い続ける理由」まで、30分間で濃密なトークが繰り広げられました。

その熱いトークのエッセンスを、ギュッと凝縮してレポートします!

1. 今日から変わる!ポートレート撮影 2つの神テクニック

人や日常を魅力的に撮るために、青山さんが教えてくれた誰もが明日から実践できるテクニックは「光」と「言葉(会話)」の2つ。

① 写真は「反逆光」で撮るのが正解

ポートレート(特に女性)を撮る際、顔にしっかり光が当たる「順光」を選びがちですが、青山さんは「順光は絶対にNG」と断言します。理由は、眩しくて目が細くなってしまうこと。そして、上からの光によって目の下にクマのような影ができたり、ほうれい線が際立ってしまったりするから。

おすすめは、斜め後ろから光が差し込む「反逆光」。 今のスマホやカメラは性能が良いので、反逆光でも顔が暗くなりすぎることはなく、むしろ影が出ずに肌が綺麗に映ります。スマホで撮る場合は、画面をタップして少し露出(明るさ)を上にスライドさせるだけで、驚くほどエモくて綺麗な写真になる。

② 会話を弾ませる最強の言葉は「しりとり」

カメラを向けられると、撮られる側は緊張してしまうもの。そこで「笑ってください」と言うのは一番の悪手だと青山さんは言います。無理に作った笑顔は不自然になってしまう。

そこでおすすめなコミュニケーション術が、まさかの「しりとり」。 相手にはレンズをみ続けてもらい、そのままテンポよくしりとりをすることで、相手の緊張がほぐれ、ふとした瞬間に最高に自然な表情や笑顔がこぼれます。撮影中の会話に困ったら、ぜひ「しりとりしましょう!」と声をかけてみてください。あとさらに「り攻め」等をすると良いとのことでした。そうする事で相手が「また り なの!?」という面白い表情が撮れる。

というか自分が実際にモデルをやって青山さんに撮ってもらったのでした。誰か手をあげたら譲るつもりでしたが、誰も手をあげなかったので。

2. 「カメラマン」と「写真家」の違い、そして写真の「価値」とは?

普段なかなか見えにくい「写真家のお金とビジネス」についても、包み隠さずリアルな話が飛び出しました。

作品と仕事の境界線

青山さんいわく、誰かに頼まれて撮影し、対価をもらうのが「仕事(カメラマン)」。一方で、誰にも頼まれていないのに、自分のために撮る写真はすべて「作品」であり、それを生み出すのが「写真家」という線引だそうです。日常の料理の写真なども、自分自身のために撮っているのであれば、それは立派なひとつの作品。

なぜ1枚の写真が10万円以上で売れるのか?

イベント会場に飾られている大きな写真作品。ポスターなら1,500円ほどですが、青山さんのオリジナルプリント作品には10万円ほどの価値がつきます。この違いは「エディション(限定枚数)」という概念にある。

「この写真は世界で5枚しか印刷しない」と決め、裏面にサインと「1/5」といったシリアルナンバーを入れることで、その写真に希少性と美術的価値が生まれる。世界的な写真家である杉本博司さんの作品がオークションで1億円以上で落札されるように、写真も立派なアート(芸術)として世界中で取引されている。

art.nikkei.com

3. 「届かない写真集」を届けるために。新しい出版流通への挑戦

青山さんの代表作である、サラリーマンがジャンプする姿を捉えた『ソラリーマン』は今年で20周年を迎え、記念の写真集も制作されました。しかし、写真界には「本当に良い写真集が書店に届かない」という構造的な課題があるそうです。

作家がこだわりを詰め込んで作る自費出版や小部数(500部など)の写真集は、部数が少なすぎるために大手の出版取次(流通網)に乗せることができない。そのため、写真展やアートブックフェアなどの狭いコミュニティだけで消費され、一般の書店には並ばないという現状があった。

この状況を打破するため、青山さんは先月末に新しい出版レーベルを立ち上げたとのこと。 出版社「未来パブリッシング」と協力し、100〜300部といった小部数の写真集であっても、写真を大切に扱ってくれる全国の書店にピンポイントで流通させる仕組みをスタート。本当に良い作品を、必要とする人に届けるための新しい挑戦を始めています。(相変わらず青山さんは凄い)

4. コアなファンと向き合うこと、そして「人を撮り続ける理由」

トークの終盤では、会場にいた飲食店を経営する参加者からの「来月出す自作のアートブックを、常連さんやファンに泥臭く手売りしている」という相談に対し、青山さんが深く共感する場面も。

「一発逆転のバズを狙うのではなく、地道に一人ひとりのファン(コアファン)と向き合っていくこと。それができている時点で成功は約束されているようなものです。私もSNSで連絡して既読スルーされることなんて日常茶飯事。それでも、半年、あるいは6年送り続けて、ある日突然『行きます!』と来てくれる関係になることもある。とにかく、今よくしてくれる人に焦点を当てることが一番大切です」

そう語る青山さん自身、誰に頼まれたわけでもなく20年間写真を撮り続けている。

世の中には写真を買っても数年で飽きてしまう人も多い中、なぜ青山さんは飽きずに撮り続けられるのか。その答えは「撮る対象が『人』だから」だと話されてました。

「人間って、みんな全然違うんです。仏頂面に見えても頭の中ではすごく楽しんでくれているかもしれないし、笑顔でも実は気を遣っているだけかもしれない。カメラのレンズを覗きながら、その人の『魅力』を探し続けていれば、絶対に飽きることはありません。人の魅力を探すようになってから、本当に人生が楽しくなりました」

「反逆光」と「しりとり」。この2つのテクニックを武器に、皆さんもぜひ身近な人の魅力を探す撮影に出かけてみてはいかがでしょうかという締めでトークイベント終了。

編集後記ってほどでもないですが

今回のイベントの主催者の方とお話する機会があり、「スクールガール・コンプレックス」を見て「この人はやばい」と思ってオファーをしたそうなのですが、実際に青山さんに聞いたところ、会場に来ると女性がかなり多く、アウェイ感が凄かったので話す内容を変えて今回のようなトークにしたとのこと。自分としては普段あまり聞けない話もきけたのでとてもおもしろかったです。

青山さんにしりとりで撮ってもらった写真欲しいです!と伝えておいたのでいつかもらえたらプロフィール写真にしよう。

お題「カメラじゃなく、写真の話をしよう」  この記事が少しでも良いと思ったり役に立ったら以下のいいね!シェアボタンなど宜しくおねがいします。