Photographed by Yoshihiro Hirai(ヒライ ヨシヒロ)

ヒライ ヨシヒロが日々写真を中心に思ったことをつづるブログです。

【イベントレポート】美樹本晴彦さんの「超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-」上映会&スペシャルコラボトークに行ってきたお話

美樹本晴彦さんと草野剛さんのトークとマクロス2の上映会に行ってきた記録

イベントの告知タイミング凄かった

このイベント主催者のプレスリリースを打つタイミング凄かった。

prtimes.jp

2026年3月7日のイベントの告知を47時間前の2026年3月5日 16時00分にPR TIMESに出すという。たまたま情報キャッチ出来たから良かったけど恐らく直前過ぎるのて調整できない人も多々いたのではないかと想像ができますが、それのお陰で見れたとも言える。

◆内容
・第一部(60分ほど)
「超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-」OVA全6話のうち第1話・第5話を上映いたします。
・第二部(80分ほど)
美樹本晴彦氏と、画集『MACROSS』の装幀・デザインを担当した草野剛氏によるスペシャルコラボトークセッションを実施いたします。

結論から言えば非常に濃いトークイベントでしたが会場内の席の埋まり具合を見ると3/4くらいしか埋まってなかったので、こりゃもったいない感じだったなと思いました。って事でイベント参加できなかった人向けにサクッとレポート形式でお届け。

黄金期の葛藤と「挑戦」

『マクロス』シリーズの制作秘話

継承か、刷新か

新作(『マクロスII』等)の企画時、現場では「過去の成功を継承すべきか、全く新しいものを作るべきか」という意見が激しく対立した。スタッフたちは常にその板挟みの中で苦闘した

セル画時代の技術的挑戦

ヒロイン・イシュタルのデザインでは、リン・ミンメイとの差別化として「白い髪」を希望したが、当時のセル画技術では動かすことが困難で、やむなく水色となった。『メガゾーン23』からの宿願だっただけに、技術的制約との闘いは苛烈だった。

神崎ヒビキというデザイン

また、『マクロスII』の神崎ヒビキでは、当時では非常に珍しく工数もかかる「髪の一部だけ色を変える(メッシュ)」というデザインを強行。キャラクターの個性を際立たせるための、美樹本さんらしい意欲的な試みだった。

創作の原点と「真似」の効用

美樹本氏の画風を形作ったルーツについて

ガンダムと安彦良和という土台

美樹本氏や、いのまたむつみ氏、高田明美氏ら、同年代のクリエイターが活躍できた土台には、安彦良和氏が描いた『機動戦士ガンダム』がある。

高田明美画集「LA MADONNA」

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高橋真琴からの影響

キャリア初期は少女漫画に傾倒し、特に高橋真琴氏の描く大きな「眼」を徹底的に真似た。その繊細さや情緒を、アニメキャラクターの男性像にも投影したことが現在のスタイルに繋がっている。

日常を描く視点

アニメ的な「決めポーズ」ではなく、待ち合わせ中のような「日常の風景」を描くことで、キャラクターに生活の匂いを持たせる手法を模索し続けた。

アイドル、女優、そしてキャラクターの精神性

トークは当時アニメで描かれた「ヒロイン像」の消費のされ方にまで及んだ。

気まずいベッドシーン

美樹本氏は当時のアニメ表現について、『うる星やつら』のように子供が観ていても突然ベッドシーンが始まるような状況に、子供心に気まずさを感じていたと振り返る。

早瀬未沙とミンメイの対比

未沙は大人な経験を積んだ女性、ミンメイは未成熟な処女性を象徴する存在として対比的に消費されていた、という当時の空気を回想。

女優の「円顔」が与えたヒント

高橋由美子さんなどの当時人気だった女優たちの顔立ちには、ある種の「丸み(円顔)」の愛らしさがあり、それがイシュタルらヒロインの造形エッセンスに隠されていることも明かされた。この「今、この人がいい」という直感的な感性は、年齢を重ねた現在も変わらず美樹本氏の創作の核となっている。(イシュタルは高橋由美子なのか!という驚き。)

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宗方コーチの言葉と、変化した死生観

後半、話題は「現在」の心境へ。体調の変化や、仲間が去っていく(鬼籍に入る)現実の中で、美樹本さんの死生観は変化していた

過去への執着はない

「あの頃に戻りたい」という感覚はあまりなく、その時代その時代で「まあいいか」と納得して生きてきた。

エースをねらえ!2の衝撃

最近見返した『エースをねらえ!2』の宗方コーチの「時間を無駄にするな」という言葉が、今の身体感覚と重なり、あまりに重く刺さった。「来年も同じように桜が見られるか分からない」という恐怖感を抱きつつ、今この一瞬の尊さを噛み締めている。

画集という媒体、そしてAIとの共創

最後に、美樹本氏の「現在」について

モノクロの正解

Blu-rayやDVDジャケットではカラーの可愛さが求められるが、今回の画集という媒体だからこそ、あえてモノクロの鉛筆画という表現が成立し、それが正解だった。

AIを「鏡」として

自身の絵をAIに学習(LoRA等)させた生成物を見て、自分で描くよりも今風で洗練されつつ、自分の線の癖も残る出力に感動。「あ、この線もありなんだ」と、自分の絵を客観的に見るための「鏡」としてAIを柔軟に取り入れている。

まとめ

美樹本晴彦さんのトークイベントという事で長時間のお話をお聞きしたのは初めてだったのですが、全体通して感じたのは美樹本晴彦さんの口調がとても優しい、上品な方だなと思いました。

  • 大変穏やかな性格
  • 謙遜がすごい
  • かつ挑戦をし続けている


とくにAIについては非常に柔軟な意見であるのが凄かった。